課税4億を取り消し・・・・

最近では海外投資を巡り税務当局との摩擦が 頻繁に報道されています。 武富士の元会長の長男の事件では追徴課税を一旦納め、不服申し立て裁判をしていましたが、武富士の勝利です。贈与税は日本では贈与を受ける側(この場合は息子)が支払うのですが海外では贈与する側(この場合父親)が支払うので、海外に居住する子弟に贈与する場合誰も税金を支払わなくて良いのです。これを抜け道に利用する資産家が出てきたので税務署は「海外に5年以上居住した場合に限る」という項目を追加しました。 しかし、この項目を追加した時より前に贈与は行われていたので税務当局の処分は不当です。

当時、相続税の最高税率は70%と、世界に類を見ない程、高額でしたので某一部上場会社のオーナー社長は生前贈与をしました。贈与税は50%ですのでこの場合20%の節税になります。私の知っている上場会社の社長は癌に侵され余命いくばくもない事を知り、奥方と離婚しました。法律上では他人ですが一緒に暮らしています。資産を慰謝料として奥方名義にしましたので無税です。奥方名義であれば対策を練る時間があると言うことなのでしょう。

日本に住んでいるのにシンガポールの口座を使って証拠金取引をして多くの利益を出し、税務申告をしなかった個人投資家は処分の対象となります。 しかし下記の弁護士は海外に居を移し、株式を売却して利益を収めてから帰国しましたので課税処分を受け、それを不服として裁判したのです。 結果としてはこの弁護士が勝ったのですが税務当局は警告の意味を含めて処分を出したのではないでしょうか。 職業柄、この様な内容で争うのは決してプラスとは言えません。 が、「4億ともなれば話は別」と言う事なのでしょう。

———————————– 2007年9月14日 22時05分-共同

 海外に居住し、日本国内での納税義務がないのに株式売却益に課税されたとして、元弁護士が約4億1000万円の課税処分取り消しを求めた訴訟の判決で東京地裁は14日、請求を認め、処分を取り消した。

 国税側は「生活の本拠は国内にあり、税回避のため海外転居を偽装した」と主張したが、杉原則彦裁判長は「偽装と考える余地もあるが、住居や職業、資産の所在地などを総合的に判断すれば、国内に居住していたとはいえない」と指摘した。

 判決によると、元弁護士は2000年12月、シンガポールに転出し、01年1月に株を約18億9000万円で売却。04年4月に日本に転入したが、株売却益について所得税の確定申告をしておらず、国税当局は同年6月、無申告加算税を含め課税した。

 海外居住者への課税をめぐっては、消費者金融大手「武富士」元会長の長男が約1300億円の追徴課税の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は5月、海外居住と認め、処分を取り消した。

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旧五菱会のヤミ金融事件を補佐したとして告訴された香港の日本人銀行マンは第二審も無罪となりました。

———————————–2007年9月12日日経

暴力団山口組系旧五菱会のヤミ金融事件で、違法収益のマネーロンダリング(資金洗浄)に協力したとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)罪に問われた元クレディ・スイス香港行員、道伝篤被告(44)の控訴審判決公判で、東京高裁(池田耕平裁判長)は12日、一審・東京地裁の無罪判決を支持し、検察側控訴を棄却した。

 控訴審でも道伝被告に海外送金した資金が不法収益だとの認識があったか否かが焦点になった。検察側は「客観的な取引態様からも金融機関の職員の被告がマネロンの疑いを持たないことはあり得ない」と主張。被告側は「ヤミ金融という認識はなく、マネロン防止のための『顧客の本人確認』も実行していた」と反論していた。

 道伝被告は、2003年に旧五菱会の梶山進・元幹部=実刑確定=らがヤミ金融で得た違法収益を隠すため、元幹部らから預かった割引金融債を換金。計約94億円を香港経由でスイスのクレディ・スイス本店に開設した無記名口座に送金したとして起訴された。東京地裁は06年3月、「犯罪収益との認識はなかった」として無罪を言い渡した。

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問題の銀行はクレディスイス香港支店です。検察の言うとおり銀行マンがマネロンの疑いを持たない事はあり得ませんが旨く交わされたようです。この銀行はホリエモン事件でも登場しましたが、割と頻繁に日本へ営業に来ていると聞いた事があります。 クレディスイスはプライベートバンクではありません。大手銀行のプライベートバンク部門という位置づけです。もしかしたらこの銀行マンよりも私の方がずっと詳しい部分があると私自身は自負しています。