G20 (Tax Haven)

景気後退を受けてG20では各国の税収と市場への資金投入について協議された。税収アップの一環としてタックスへイブンの規制について関心が集まりました。そして①白、②グレー(真白でないものを含む)と③ブラックにランク分けされ発表されました。主なタックスヘイブンの国(自治体)名は ①キプロス、ガーンジー島、アイルランド、マン島、ジャージー島、モーリシャス島、セイシェル。 ②クック諸島、ジブラルタル、リヒテンシュタイン、モナコ、ナウル、パナマ、サモア、バヌアツ、etc. そして②のその他として:オーストリア、ベルギー、ブルネイ、ルクセンブルグ、シンガポール、スイス、etc. ③コスタリカ、マレーシア(ラブアン)、フィリピン、ウルグアイが挙げられています。私達に一番近くて馴染みの深い香港がどこにも見当たらなかったのですが、これは①に中国の国名がありましたので中国の一部としてリストされているものと思われます。主だった先進国は皆、①です。

これからお伝えするプライベートバンク情報はオフショア金融機関から提供された情報を元に伝え聞いた範ちゅうですので或いは事実と若干の相違があるかもしれませんが関係者の間で語られている事です。昨年、プライベートバンクのLGT銀行の顧客情報をドイツ税務当局に460万ユーロで売って国外亡命したとされるハインリッヒ・キーバー(Heinrich Kieber)の話が話題になりました。キーバーは王室の経営する老舗プライベートバンク・LGTの顧客情報をデータベース化する任務にありましたが不動産不正取引で起訴されてしまったのを機にDVD3枚にデータをコピーし持ち去り司法取引したのです。一世一代のドラマを演じて見事大金を手中に収めリッチマンとして悠々自適な人生を送るのです。核を持っているから手を拱いている日朝問題を連想させます。

またスイスの最大手銀行UBSは米国人の脱税幇助をしたとしてプライベートバンク部門を統括していた最高幹部のラウル・ワイル(Rapul Weil)が脱税の共謀犯として起訴されたのです。頻繁に渡米していたラウルはスイスに帰国しており出頭命令に応じなかった為、翌年1月に逃亡犯として指名手配されました。スイス銀行法では職務上知り得た秘密を漏らした者に対し、懲役刑を含む刑事罰を科すと定めており、スイスの金融機関はいかなる場合にも第三者に情報開示する事はないとされていました。板挟みになったUBSは米国人顧客に窮状を伝え、速やかに口座を閉鎖し資金を移動するよう手紙を書きました。その上で米国のIRS(米国国税庁)に共謀を認め7億8000万ドルを支払い更に米国人顧客情報ををIRSに提供したのです。適正に納税されていない米国人口座が約47000件に上ったそうです。

日本や多くの国では属地主義と言い、非居住者には原則として納税義務はありません。しかし米国では属人主義と言い、アメリカ市民である以上世界のどこに居ようと1万ドル以上の資産はIRSに報告義務があり、利子、配当、譲渡所得を申告納税しなくてはなりません。租税回避はいまや巨大ビジネスで、米国上院調査委員会はこれにより毎年700億ドル近くの損失が国庫に生じていると推定されています。

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