プライベートバンク (その1)

golden_egg.JPG

遅ればせながら明けましておめでとうございます。

東洋では今年の干支は辰(龍)、特に今年の組合せは黒龍だそうで大変な金運の年だと聞きましたので年明け早々、某スポーツ関係者と愚息を伴い香港へ行き、口座開設や金などの仕込みをお手伝いして参りました。1オンス1600ドル前後でしたのがさっき1649ドルなんて言って居ましたので今の処、好調です。円の高騰、ユーロや米ドルの不安、日本の借金の多さなどを鑑み、日本だけで資産を運用するのは1つのバスケットに卵と言う資産を全て入れるのに等しい行為です。落としたら全部壊れます。将来、円安が始まった時に後悔しない為にも円高の内に分散をお勧めします。

日本の資産家をターゲットにプライベートバンクが大活躍しています。欧州では陸続きに宗教、人種、言語の違う人が暮らして居ますので戦争や革命が頻発し、有産階級の資産を守る為、革命政府に土地を没収されないように信託が利用されるようになり、プライベートバンクの制度は12世紀の英国から始まりました。今では永世中立国であるスイスが有名になりましたが信託制度が欧州とは違う日本ではPBの利用の仕方が少し違う様に思えます。老舗であるとかレッドカーペット待遇でプライベートバンク(PB)を選びますと数年後にそのチャージの高さに気付き、ちっとも増えないばかりか資産を減らして行くのを嘆く事にもなりかねません。 PBもビジネスですからレッドカーペットに使った費用以上のチャージを様々な名目で課金します。一概にPBと申しましても夫々のPBにその得意技がありますが日本人資産家の多くがPBの食い物にされ、使いこなして居ないのが現状です。弊社はオフショア金融プロの育成にも関与しておりますのでPBの依頼に依り何人かのPB日本事務所代表にレクチャーした経緯があります。多くが証券出身でファンドや株以外の知識が浅く、国際保険を使ってのエステートプラ二ングなどが出来ていません。尤も素人の顧客は銀行マン以上に知識が無いわけですから判る筈はありませんし、こんな事は本には書いてありません。

日本には事務所を置かず、携帯電話だけで連絡を取り合い当局の規制を受けない体制のPBも あります。しかし、スイス最大級の銀行UBSのPB部門が米国で旅行者として米国資産家にアプローチ・営業行為をした事から財政赤字に苦しむ米政府はUBSに『米国人顧客リストを出せ』と命じました。『スイス国内法に依り顧客情報は守られる』と当該PBは反論しましたがアメリカで営業活動をしたのはアメリカでは違法行為ですから当該PB関係者に合衆国政府は逮捕状を出しました。国際手配です。僅か1~2年前の事ですが、「下手な推理小説より面白い」と野次馬気分で私は経過を注視して参りました。当惑したPBは仕方なく米国人顧客に○月○日までに口座を解約する様、期日までに解約しないと米当局に開示すると手紙を書き顧客情報を守りつつ自行関係者の逮捕を免れました。税収不足に苦しむ赤字財政の日本でも同様の処置が行われない保証はなくPB天国スイスはもはや過去の伝説となっているのが実情です。

リヒテンシュタインの某PBは今新聞を賑わしている精密機械O社の赤字飛ばしをしたと業界ではもっぱらの噂です。実務を行ったのは多分、元N証券マンの日本事務所代表です。このPBは王室が経営者ですが数年前にスペインで不動産取引に違法行為をした行員が発覚処分を恐れて顧客情報を焼いたCDをドイツ当局に売りドイツ政府は莫大な税収を得、買人はオーストラリアに逃げ新しい名前とパスポートを手に入れたと関係者が噂して居ます。10年程前に既に日本で消えてしまった某PBが某上場会社に深く関与し、プリンストン債を使って損失を出し赤字飛ばしをした話は経験を積んだ業界のプロなら知って居ます。

PBを選ぶにはPBの名前やレッドカーペット度合いで選ばずに自分の目的意識を明確にし複数のPBから的確なPBを選んで貰う事が肝要です。特定の銀行マンは当然ながら自行のメリットしか伝えません。ちっぽけな相談料を惜しむとPBに利用され資産家は手痛い損失を被る事になります。私が香港に同行したスポーツ関係者はつい最近、スイスの老舗PBから砂糖を買うと良いと助言されたそうです。資産を守るのが大義のPBが何故この様な商品を勧めたのか私にはミステリーです。特定の商品知識があっても失敗を知らない若いバンカーが守りを固めるのは難しいと思って居ます。

弊社ではタイムチャージでご相談に応じておりますので事前に料金をご確認下さい。原則として都内当方の指定場所となります。海外同行サポートは日当制となっており旅費、滞在費は依頼人の負担となります。顧客情報の開示の無い依頼人からのご相談はお受け出来ません。病状を教えずに医者の処方は受けられないのと同様です。