AIGの凋落

高い信用格付けを誇る世界最大の保険会社が何故このような窮地に陥ったのか不思議に思う人は少なくないのではないでしょうか?今のAIGの混乱の原因は中核となる保険事業とは異なる多角化事業でした。AIGFP(AIG Financial Products)はAIGの高い格付けをバックに膨大なデリバティブ取引を行っていたのです。AIGFPは1990年代に急拡大し、CDOという企業のデフォルト(債務不履行)に保険を掛ける商品や住宅ローン、消費者金融に手を広げていったのです。これらの多角化事業はその後長きに亘り大きな収益を上げて来ました。CDOと呼ばれる債務担保証券に保険を掛ける事業の取引こそが過去数ヶ月で410億ドルもの評価損計上に追い込まれた最大の要因でした。これを国が救済しないと世界の金融が消費者が大きなダメージを受ける事になるのです。850億ドルをNew York連邦準備銀行より借入しました。AIGは最近までCDOのデフォルトに対する保険商品が損失を産むリスクは極めて低いと考えていました。サブプライムローン破綻から金融機関が破綻し、成す術も無く世界の王者は奈落の底に落ちて行きました。利益追求する余り多角化をし、それが裏目に出てしまったのです。企業はやはり本業に精を出すべきだという教訓になってしまいました。

最後はフルスウィング

kiyohara.jpg  リーマン破綻以来連続で日銀は多額を短期金融市場に供給しています。アメリカの金融安定化法案が下院で否決されて株価が大暴落したというのに、私が今日一番印象に残ったのは清原の引退試合でした。スポーツ選手なら誰でも一度は迎える事ですがあの大男が大泣きしながら最後の挨拶をする姿はやはり胸に詰まされます。ずっと昔、長嶋茂雄の引退の挨拶に多くの日本人が涙したのを思い出します。4番先発、フル出場、痛む膝を気遣いながら最後はやはりフルスウィングでした。長渕剛の「とんぼ」の熱唱なんて洒落た計らいです。思えば23年前、巨人軍指名を信じてドラフトに臨んで西部入団となった日から苦悩のスタートだったのでしょう。王監督は花束を渡しながら「来世は一緒のチームで野球をしよう」と話しかけたそうです。だからあんなに泣いたんですね。今宵は一人の男の野球人生の終焉に静かに酒を飲みたいと思います。